
中小企業の「人的資本経営」に社労士はどう関わる?可視化から始めるコンサル入門
【この記事でわかること】
・「上場企業の話でしょ?」と誤解している中小企業経営者に刺さる提案ロジック
・社労士が持っている「宝の山(人事データ)」を使ってコンサルを始める方法
・「可視化」だけで終わらせず、具体的な「人材投資(評価制度)」へ繋げるステップ
「人的資本経営」という言葉を耳にする機会が増えました。
大手企業では有価証券報告書への記載が義務化されるなど対応が進んでいますが、多くの中小企業経営者はこう思っています。
「うちは上場する予定もないし、関係ない話だ」「難しそうでよくわからない」
しかし、実態は逆です。
人材不足が深刻化する中小企業こそ、「人をコスト(資源)ではなく投資対象(資本)と捉え、価値を最大化する」という人的資本経営の考え方が不可欠です。
そして、この分野で最も頼りにされるべき専門家は、経営コンサルタントではなく、普段から企業の人事データ(給与、勤怠、入退社)を預かっている「社会保険労務士」です。
本記事では、抽象論で終わりがちな人的資本経営を、社労士が「実務」として提案するための具体的な切り口(可視化)とロードマップを解説します。
目次
1. 人的資本経営は「大企業だけの流行り言葉」ではない
中小企業に対して、ISO30414(人的資本の情報開示ガイドライン)のような難しい話をしても響きません。
社労士が伝えるべきメッセージはシンプルです。
「社長、社員にかけるお金を『削減すべき経費』だと思っていませんか?
これからは『リターンを生むための投資』に変えましょう」
採用と定着のための「選ばれる理由」作り
求職者は今、「この会社に入ったら自分が成長できるか(人的資本への投資があるか)」をシビアに見ています。
「教育研修費」や「公平な評価制度」といった情報を可視化・発信できない企業は、採用市場でスタートラインにも立てない時代になりつつあります。この危機感を共有することが、提案の第一歩です。
2. 社労士だからできる!「静的データ」と「動的データ」の可視化
コンサルティングの入り口は「現状の可視化(診断)」です。
実は、社労士の先生方は、すでにコンサルに必要なデータの半分を持っています。それが給与計算ソフトや手続きシステムの中にあるデータです。
【静的データ】すでに先生が持っているもの
- 離職率、勤続年数
- 年齢構成、男女比
- 有給取得率、残業時間
- 労働分配率(決算書があれば)
※これらをグラフ化するだけでも立派な「人的資本レポート」になります。
【動的データ】これから取得するもの
- エンゲージメントスコア(やる気)
- スキル保有状況(能力)
- 評価の納得度
- 次世代リーダー候補数
※ここを可視化することで、一歩踏み込んだ提案が可能になります。
3. コンサル未経験でも実践できる「3ステップ導入法」
SGE(検索体験)でも求められる、具体的なアクションプランを提示します。
Step1. 「健康診断」としてのレポート提供
まずは手持ちのデータ(静的データ)を使って、「御社の人事データ診断書」を作成・提供します。
「50代の社員が極端に多く、10年後に技術継承が途絶えるリスクがあります」「部署Aだけ離職率が異常に高いです」といった事実を突きつけることで、経営者に課題を認識させます。
Step2. 従業員意識調査(サーベイ)の実施
次に動的データを取得します。高価なツールでなくても構いません。
「会社のビジョンに共感していますか?」「評価に納得していますか?」といったシンプルなアンケートを実施し、組織の「見えない課題」を数値化します。これがコンサルティングのネタになります。
Step3. 「ギャップ」を埋めるための制度提案
「社員の7割が『評価基準が不明確』と回答しています。これが離職の原因です」
このように、データ(診断結果)と解決策(評価制度導入)をセットで提案します。感覚的な提案ではないため、経営者の納得感が段違いです。
4. 可視化の次は「投資」へ。JINJIPACKで具体的なアクションを提案する
人的資本経営のゴールは、可視化することではなく、「投資対効果(ROI)を高めること」です。
可視化して終わりにしてはいけません。
- 「スキルマップ」を作って、足りない能力への教育研修投資を促す
- 「人事評価制度」を作って、貢献度の高い社員への賃金配分(投資)を増やす
この「具体的な投資の器(仕組み)」を作るのが社労士の役割です。
JPパートナーズの「JINJIPACK(人事パック)」は、単なる評価システムではありません。
「誰がどこまで成長したか(スキル管理)」「適正な人件費配分ができているか(賃金シミュレーション)」を可視化し、中小企業の人的資本経営を具現化するためのプラットフォームです。
「分析」から「制度構築」、そして「運用」までを一気通貫で支援できるツールを持つことで、社労士は最強の人的資本経営パートナーになれるのです。
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5. よくある質問(FAQ)
人的資本経営の提案について、よくある質問をまとめました。
Q. 小規模な企業でも「人的資本経営」は必要ですか?
Q. データの可視化だけでお金をもらえますか?
Q. 専門的な分析ツールが必要ですか?
「人的資本経営」は、社労士が手続き代行業から「経営パートナー」へと進化するためのキーワードです。
まずは身近なデータの可視化から、最初の一歩を踏み出してみませんか?
