人事コンサルの報酬相場はいくら?「時間単価」ではなく「付加価値」で見積もりを作るプライシングの極意

税理士から紹介が止まらない社労士の特徴|労務リスク診断で連携強化

人事コンサルの報酬相場はいくら?「時間単価」ではなく「付加価値」で見積もりを作るプライシングの極意

【この記事でわかること】
・「作業時間」で見積もりを作ると、社労士がジリ貧になる構造的欠陥
・人事評価制度構築50万〜200万、月額顧問5万〜20万の「適正相場」の根拠
・顧客が喜んで高単価契約にサインする「松竹梅(3段階)見積もり」の作り方

「評価制度の構築を頼まれたが、いくら請求していいかわからない」
「高すぎると断られるのが怖くて、つい弱気な金額(作業時間×数千円)を出してしまう」
「結局、時給換算するとコンビニのバイトと変わらない…」

手続き業務からコンサルティング業務(3号業務)へ移行しようとする社労士が、最初にぶつかる壁が「プライシング(値決め)」です。
手続き業務には相場がありますが、コンサルティングには定価がありません。

ここで多くの先生がやってしまう間違いが、「自分の稼働時間」をベースに見積もりを作ることです。
コンサルティングで稼ぐためには、発想を180度転換し、「顧客が得られる成果(付加価値)」をベースに価格を決める必要があります。
本記事では、安売り地獄から脱出し、堂々と高単価を提示するための見積もり戦略を解説します。

1. 「時間単価」で見積もると失敗する理由

「作成に20時間かかるから、時給5,000円として10万円」
この計算式は、アルバイトの発想です。コンサルタントがこれをやると、以下のパラドックスに陥ります。

スキルが上がるほど収入が減る

経験を積んでスキルアップし、20時間かかっていた仕事が2時間で終わるようになったとします。
時間単価方式だと、請求額は10分の1(1万円)になってしまいます。
「優秀で仕事が早い人ほど損をする」のが時間単価モデルです。コンサルティングは、短時間で成果を出すことにこそ価値があります。

顧客の関心は「先生の労働時間」ではない

経営者にとって、先生が徹夜しようが1分で終わらせようが関係ありません。
関心があるのは「その課題が解決するかどうか」だけです。
「私がこれだけ頑張るからお金をください」という労働の対価ではなく、「この成果を提供するからお金をください」という価値の対価にシフトしなければなりません。

2. 人事コンサルの報酬相場(アンカー価格)を知る

とはいえ、市場相場からあまりに乖離していれば受注できません。
一般的な社労士系人事コンサルの相場観(アンカー)を押さえておきましょう。

【人事評価制度構築(スポット)】

  • 簡易版(〜30名):30万〜80万円
  • 標準版(30〜100名):100万〜200万円
  • フルオーダー(100名〜):300万円〜

【運用支援・相談顧問(月額)】

  • ライト(メール相談のみ):3万〜5万円
  • スタンダード(月1回訪問・会議同席):5万〜10万円
  • プレミアム(評価者研修・運用代行):15万〜30万円

これより安いと「安かろう悪かろう」と判断され、逆に信頼を失う可能性があります。
「うちは大手コンサルよりは安いが、個人の激安社労士よりは高い。その分、実用性と運用フォローに強い」というポジションを狙うのが、最も成約率が高くなります。

3. 顧客は「解決策」に金を払う。ROI(費用対効果)のロジック

100万円の見積書を出して「高い」と言われるのは、金額が高いからではありません。
「100万円払って、何が返ってくるのか」が見えないから高いと感じるのです。

見積もりを提示する際は、必ず「投資対効果(ROI)」をセットで説明します。

【ロジック例】未払い残業リスクの解消

「社長、もし未払い残業代を請求されたら、過去3年分で一人あたり300万円、社員10名で3,000万円のリスクがあります。
今回の賃金制度改定コンサルは150万円ですが、これで3,000万円のリスクをゼロにできます。保険料だと考えれば安くないですか?」

【ロジック例】採用コストの削減

「離職率が高く、毎年エージェントに500万円払っていますよね。
評価制度を入れて定着率が上がれば、この採用コストが半分になります。コンサル料100万円は半年で回収できますよ」

このように、相手の財布(リスクやコスト)と比較させることで、コンサル料を「経費」から「投資」に変えることができます。

4. 成約率を高める「松竹梅」見積もり戦略

見積書を1種類しか出さないのは、機会損失です。
心理学の「極端性回避の法則(松竹梅の法則)」を活用し、必ず3パターンのプランを提示しましょう。

梅プラン(最低限)

50万円

  • 評価シート納品のみ
  • 説明会なし
  • 修正回数1回まで

※「とりあえず形だけ欲しい」方向け

おすすめ

竹プラン(標準)

100万円

  • 制度構築+導入研修
  • 賃金シミュレーション
  • 3ヶ月の運用サポート

※最も選ばれるプラン

松プラン(充実)

180万円

  • 竹プランの内容全て
  • 評価者トレーニング
  • 1年間の完全運用保証

※確実に定着させたい方向け

人は「買うか、買わないか」で迷いますが、3つ提示されると「どれにするか」で迷い始めます。
そして、多くの経営者は真ん中の「竹」を選びます。
「松」を見せることで、「竹」が安く見える(アンカリング効果)のです。

利益率は「ツール」で上げる

100万円で受注しても、手作業で100時間かけていては時給1万円です。
しかし、「JINJIPACK」のようなツールを使い、10時間で完了させれば、時給は10万円に跳ね上がります。
顧客には「100万円の価値(竹プラン)」を提供し、裏側ではツールで徹底的に工数を削減する。これが高収益事務所の「時給ではなく価値で稼ぐ」カラクリです。

そのまま使える「コンサル見積書ひな形」を公開

松竹梅の項目設定や、顧客に納得させるための「提案資料(ROI説明資料)」の
テンプレートを無料でダウンロードいただけます。

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5. よくある質問(FAQ)

コンサルティングの報酬設定について、よくある質問をまとめました。

Q. 相場より安くしてでも実績を作るべきですか?

最初の1〜2件なら「モニター価格」として半額などで受けるのはありです。ただし、必ず「お客様の声(事例掲載)への協力」を条件にしてください。理由なき安売りは、紹介による負の連鎖(安い客が安い客を呼ぶ)を生むため、絶対に避けるべきです。

Q. 「高い」と言われて値引きを要求されたら?

単に金額を下げる値引きはNGです。必ず「業務範囲」を削ってください。「では、説明会と研修を省く形(梅プラン)なら50万円で可能です」と提案します。これにより「こちらのサービスの価値」を下げずに、予算に合わせることができます。

Q. 顧問料にコンサルを含めてもいいですか?

おすすめしません。手続き顧問(月3万円)の中にコンサルを含めると、際限なく相談が来て疲弊します。「手続き顧問」と「コンサル顧問」は明確に契約を分け、後者をアップセルとして提案するのが健全な経営です。

プライシングは、先生自身の「覚悟」の表れです。
時間単価の労働者から卒業し、付加価値を提供するプロフェッショナルとして、堂々と適正価格を提示しましょう。

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